美容室経営は法人(会社)と個人事業主どっちがお得?それぞれのメリットとデメリットを解説

美容室を開業する際や個人事業主で開業して利益が出てきて軌道に乗った際、法人で経営した方が良いのか個人事業主で経営した方が良いのか迷われる方が多いでしょう。状況によってどちらがお得かは変わってくるので、ここではそれぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。

Contents

個人事業主の場合

まずは個人事業主のメリットとデメリットから見ていきましょう。

メリット

・開業時の手続きが簡単

個人事業主の最大のメリットは手続きが簡単なことです。手続きとしては、開業届を税務署に提出することと保健所への開設届を提出することだけです。

法人は決算ですが、個人事業主は1年間の事業収支を計算して所得税額を計算する確定申告を行わなければなりません。会計の時期は1~12月と決まっています。確定申告では「白色申告」と「青色申告」の2種類あります。

・規模の小さいうちは所得税の税率が低い

所得税を納める際、個人事業主は累進課税(所得と税率が比例して上がっていく)です。課税総所得金額が195万円までは最低税率の5%の所得税で済みます。
しかしながら、実際に上記の税率では生活費が苦しいのも事実です。

・廃業時の手続きも簡易的

ネガティブな要素ではありますが、個人事業主は開業時の手続きが簡易的で、届出を提出するだけになります。(最後の年の確定申告は必要です)

デメリット

反対にデメリットも確認しましょう。

・信用が低い

簡単に事業が開始・廃止できるだけあり、法人と比べると信用度は低くなります。
こちらは、例えば融資を検討される際に影響があるといえます。

・経費として認められる範囲が狭い

個人事業主には役員報酬の概念がなく、売上から経費を引いた利益の金額が個人事業主の所得に直結します。

・赤字の繰り越しが3年で節税面は法人に劣る

赤字を出してしまった際に繰り越せる年度は3年まで。
3年以内に消却できない繰越の赤字はなくなってしまいます。(法人は10年間)

・場合によっては税金を多く払わなければならない

個人事業主は累進課税という所得税の課税方法が適用されるので、利益が出れば出るほど税金も多く払わなければいけなくなります。

法人の場合

次に、法人のメリット・デメリットを見ていきましょう。

メリット

・信用が高い

社会的な信用が個人事業主と比べ高く、資本金の金額等によっては融資の際に借りられる金額も変わることがあります。

・経費として認められる範囲が広い

一番大きい経費でいくと役員報酬が該当します。株主総会等で承認されれば、役員の給与分が経費として認められます。

・赤字の繰越が最大10年と長い

赤字を出してしまった場合でも10年間繰り越すことができます。

・個人事業主と違って儲けに対して一定の税率が掛けられる

個人事業主の場合、所得に応じて税金がかかるので、売上と利益が増えれば増えるほど、税率も上がっていきます。法人の場合、最高税率は23.2%と個人事業主よりかなり安くなります。

デメリット

反対にデメリットも見ていきましょう。

・設立するために費用がかかる

法人を設立する際、管轄する法務局へ支払う役所の費用だけで約20万円ほどかかります。(株式会社の場合)
届出を提出するだけで、開始出来るわけではなく、株式会社の場合は公証人役場で認証をもらったりと時間もかかります。
印鑑も作成が必要なことや、手続きを司法書士の先生に依頼していくと更に5万円~10万円程度かかってきます。
届出に関しても法人の場合は税務署だけでなく、県税事務所と市役所にも届出が必要です。税務申告をする際も、この3ヶ所へ申告をしに行く必要があります。

・廃業時も手間がかかる

廃業をする際も時間と費用を要することになります。
まずは法人を解散するための法的な手続きと、解散のための税務申告を行ないます。
その後、法人を清算するための法的な手続きと、清算するための税務申告を行ないます。
手続きも難しいため、司法書士の先生に依頼することになり、費用もかかりますし、税務申告も個人事業主よりも難しいため税理士費用もかかることがあります。

まとめ

ここまでそれぞれのメリット・デメリットを見てきましたが、いかかでしたか。実際のところ、ほとんどの美容室のオーナーが、まず個人事業主として始めています。一概には言えませんが、節税面で考えると事業所得が500万円あたりから法人化を意識しだすといいでしょう。売上が低い創業当初は、個人事業で開業し、その後売上が大きくなった段階で法人成り(個人事業から法人事業へ転換すること)するといったパターンも多くみられます。

 

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