個人事業主の青色申告のメリット(特典)とは?

横浜市のみなとみらいにある税理士法人エナリ横浜事務所です。
個人事業主として、開業し収入を得るようになると確定申告を毎年する必要があります。どうやら「青色申告」で申告すると良いと聞くが、どんなメリットや特典があるのだろうか・・・と思う方も多いのではないでしょうか。
今回は、個人事業主の確定申告における「青色申告」のメリット・デメリットについて解説していきます。
(※法人の青色申告はまた別になりますので、ご注意ください。)

1.青色申告とは

日本では、納税者が自ら税法に従って所得金額と税額を正しく計算し納税するという申告納税制度を採っています。
不動産所得、事業所得、山林所得のある人は、「青色申告」と「白色申告」のどちらかで申告納税を行なうことになります。
青色申告とは、確定申告の申告納税制度の1つです。
一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられるのが青色申告の制度です。

(1)帳簿書類の作成と保存が必要

青色申告は、確定申告の際に貸借対照表と損益計算書を作成することがまず必要です。
また正規の簿記により、現金出納帳や売掛帳・買掛帳、経費帳、固定資産台帳などの帳簿を備え付けて簡易な記帳をするだけでも良いとされています。
これらの帳簿および書類などは、原則として7年間(書類により5年間)保存することとされています。

(2)青色申告承認申請書が事前に必要

青色申告をするには、申請書を事前に提出しておく必要があります。
その申請書は「青色申告承認申請書」といい、提出の期限もあります。
提出期限はケースにより異なるので、下記でご確認ください。

①原則

新たに青色申告をしようとする人は、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
期限に間に合わなった場合は、翌年からの適用となりますので注意が必要です。

②新規開業した場合(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合)

業務を開始した日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。

③相続により業務を承継した場合

青色申告の承認を受けていた被相続人の事業を相続により承継した場合は、相続開始を知った日(死亡の日)の時期に応じて、それぞれ次の期間内に提出してください。

1 その死亡の日がその年の1月1日から8月31日までの場合・・・死亡の日から4か月以内
2 その死亡の日がその年の9月1日から10月31日までの場合・・・その年の12月31日まで
3 その死亡の日がその年の11月1日から12月31日までの場合・・・その年の翌年の2月15日まで

いかがでしょうか。納税者(申告者)の方の開業状況により、届出期日等が変わってきます。
国税庁の青色申告承認申請手続のページはこちらにリンクを貼りますので、そちらも併せてご確認くださいませ。(国税庁ページ

2.青色申告のメリット(特典)

青色申告にはいくつかのメリット(特典)があります。具体的には次の通りです。

(1)青色申告特別控除

複式簿記による記帳を行い、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付することで、65万円の青色申告特別控除が受けられます。
ただし、e-Taxによる申告(電子申告)または電子帳簿保存を行わない場合は、最大55万円の控除となります。
単式簿記による記帳でも、損益計算書を添付した場合、最大10万円の控除となります。
税金の対象である所得が控除されるため、大きな節税効果を得ることが出来ます。
ただし、法定申告期限内に確定申告書を提出しなければ、最大65万円の控除を受けることはできません。

(2)青色事業専従者給与

家族が仕事を手伝っている場合など、青色申告者と生計を一にしている15歳以上の配偶者や親族が、青色申告者の事業に専従して、その人に対して給与が支払われていれば、その給与を必要経費として算入することが可能です。
ただし、事前に税務署へ提出する「青色事業専従者給与に関する届出書」に記載されている金額の範囲内で、さらに「専従者の労務の対価として適正な金額である」と認められる必要があります。
事業所得を得ている個人事業主やフリーランスであれば問題ありませんが、事業的規模ではない不動産貸付業を営み、不動産所得を得ている個人事業主は、青色事業専従者給与の特例が適用されません。
また、青色事業専従者は、配偶者控除や扶養控除は受けられないので注意が必要です。
もし、専従者給与が38万円よりも少ない場合は扶養控除を受けた方が所得金額を抑えられるので、メリットがあります。

(3)赤字を3年間繰り越せる

事業所得などに損失がある場合は、まず同一年の他の所得と通算し、それでも控除しきれない金額を翌年以降3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除することができます。
また、前年も青色申告をしている場合は、損失額を前年分の所得金額に繰り戻して、所得税の還付を受けることが可能です。
純損失の繰り越しと繰り戻しを活用し、所得金額を少なくすることで、各年の税負担を減らすことができます。

(4)少額減価償却資産の特例を受けられる

白色申告の場合、仕事で使うパソコンや車などの固定資産で10万円以上の物は、使用できる期間に応じた減価償却をしなければなりません。
例えば20万円で購入したパソコンの場合、減価償却期間は4年なので、毎年5万円ずつを経費として計上します。すべての経費を計上し終えるのは4年後です。
しかし青色申告の場合、30万円未満の物であれば一括で全額経費とすることが可能です。
購入したその年に全額経費として計上できるので、所得金額を減らすことができ、結果的に所得税を抑えることができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。青色申告をするだけで様々なメリット(特典)があることをお分かり頂けたと思います。
青色申告を行なうためには、帳簿への記帳が欠かせません。それにはまず会計ソフトを使用することが大変便利です。
弊社が推奨している会計ソフトはマネーフォワードクラウド確定申告です。
銀行やクレジットカードの動きを会計ソフトへ連携できるので大変便利な上、事業の収益をすぐに確認できるので、おすすめです。
しかしながら、65万円の青色申告特別控除を受けるためには、複式簿記で帳簿を付ける必要がある上に、電子申告での申告も必要となりますので、難しい業務は税理士事務所に任せてしまい、事業の拡大に専念される事もおすすめ致します。
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