今でも103万円?所得税と社会保険の扶養の範囲を正しく理解しよう!
こんにちは、税理士法人エナリ横浜事務所です。今回は、理解できそうで分かりづらい扶養の範囲について解説していきます。
「家計や子育て費用のために働きたいけど、収入は扶養の範囲内で」と、よく耳にしますが、そもそも扶養とは何なのでしょうか?
また、扶養してもらえるのは、年収いくらまでなのでしょうか?
今回は、所得税と社会保険の扶養の範囲について解説していきます。
お時間のない方向けに動画もご用意させて頂きました。(3分程度の動画です)
宜しければご覧ください。
扶養家族の範囲
まずは、扶養の範囲を確認していきましょう。
「扶養家族」といっても、所得税法上と、社会保険ではその範囲も異なります。ですので、それぞれ確認をしながら手続き等もしていかなければなりません。
1.所得税法上の場合
所得税法上の扶養親族(家族)とは、その年の12月31日時点にて、次の3項目すべてに当てはまる人が該当します。
(1)配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます。)または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
「え、配偶者って扶養に入らないの?」となりそうですが、配偶者は配偶者控除の枠組みになるのでまた別になります。
(2)納税者と生計を一にしていること。
生計を一にしているとは、必ずしも同居を要件としている訳ではありません。
例えば、勤務・修学・療養等の都合上、別居している場合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
なお、親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
(3)青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。
・収入(所得)の要件
更に、下記の収入(所得)の要件に該当をする必要がありますので見ていきましょう。
それは、年間の合計所得金額が48万円以下であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
ここでいう年収と所得は違うので、注意が必要です。
給与収入には給与所得控除といわれるものがあり、給与収入が103万円の場合は、給与所得控除が55万円あるので【103万円-55万円】となり、給与所得が48万円となります。
それ以下であれば、扶養になれるよ!ということになります。
・配偶者の方の要件
念のため、配偶者控除を受けるための要件も簡単に確認をしておきましょう。
控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で、次の4要件のすべてに当てはまる人です。
なお、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者控除は受けられませんので留意してください。
(1)民法の規定による配偶者である(内縁関係の人は該当しません。)。
(2)納税者と生計を一にしている。
(3)年間の合計所得金額が48万円以下である。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
(4)青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと。(または白色申告者の事業専従者でないこと)
上記のようになります。
2.社会保険制度(協会けんぽ)の場合
では、社会保険上の扶養家族の範囲を見ていきましょう。
被保険者の配偶者(事実上の婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、直系尊属、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている人が対象となります。
上記の方は、所得税法と同じで、必ずしも同居している必要はありません。
また、被保険者と同一の世帯で、主として被保険者の収入により生計を維持されている次の人も該当します。(「同一の世帯」とは、同居して家計を共にしている状態をいいます。)
(1)被保険者の三親等以内の親族(1.に該当する人を除く)
(2)被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の人の父母および子
(3)(2)の配偶者が亡くなった後における父母および子(後期高齢者医療制度の被保険者等である人は除く)
・収入(所得)の要件
社会保険の収入要件は、少し曖昧な部分もあります。
被扶養者の認定を行うにあたり、実態と著しくかけ離れており、かつ、社会通念上妥当性を欠くこととなると認められる場合には、その具体的事情に照らし保険者が最も妥当と認められる認定を行うとされています。要件としては、下記の通りです。
【認定対象者が被保険者と同一世帯に属している場合】
認定対象者の年間収入が130万円未満であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合。
(認定対象者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)
なお、上記に該当しない場合であっても、認定対象者の年間収入が130万円未満であって、かつ、被保険者の年間収入を上回らない場合には、その世帯の生計の状況を果たしていると認められるときは、被扶養者となる場合があります。(認定対象者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)
【認定対象者が被保険者と同一世帯に属していない場合】
認定対象者の年間収入が130万円未満であって、かつ、被保険者からの援助による収入額より少ない場合。(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)
ここでいう年間収入の年間は暦年(1月~12月)という訳ではありません。この先1年間で130万円未満の見込みであるかで、対象者になるか一度判断をし、実際に年間収入が130万円を超えるようであるならば対象から外れる仕組みです。
まとめ
いかがでしょうか。
扶養となる対象の範囲や、収入等の要件をご理解頂けましたでしょうか。
所得税法と社会保険の制度でも違いがありますので、留意したいところですね。
個人事業主の方も、扶養には注意しなくてはいけない点もあるので、有利不利含め相談できるパートナーを見つけておくこともおすすめ致します。
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